●『地には平和を』

先日亡くなった小松左京さんのSF実質デビュー作『地には平和を』を読み直した。文庫は全て絶版になっているようだが、同作が収録されているハルキ文庫「時の顔」の中古をアマゾンで見つけたのですかさず購入。
『地には平和を』のストーリーはこんな感じだ。舞台は1945年10月末、広島に投下された原爆が不発に終わり、8月15日のクーデターが成功して本土決戦へ突入した日本。少年兵ばかりの「黒桜隊」に所属する15歳の河野康夫は、押し寄せる米軍に追われながら天皇が立て籠もる信州目指して逃亡を続けていた。ある日康夫はついに米軍の銃火を浴び爆発で投げ出されて瀕死の状態に陥るが、そこに「Tマン」と名乗る謎の金髪男が現れて……。
粗筋からわかるように、これはパラレル・ワールドものにタイムトラベルの要素を組み合わせた正統派のSF小説だ。日本の本土決戦は未来からやってきた狂人が引き起こした「時間犯罪」だった。無謀な戦いが引き起こす膨大な悲劇を横目に見ながらタイムパトロールは懸命の捜索を続け、ついに犯人を逮捕する。そして1945年秋の「間違った歴史」が消去されるまでの僅かな間、パトロールの一員であるTマンは康夫に「本当の歴史」を見せてやるのだった。









